「再建築不可」の物件はお宝と言えるのか
1.条件付きお宝物件
敷地が幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していない「接道義務違反」であるために、「再建築不可」となっている物件があって、建て替えが出来ないということで、周辺相場よりかなり安くなっています。建て替えはできなくてもいいので、安い戸建てに住みたいという高齢者や、賃貸経営目的の不動産投資家などから人気があります。
再建築不可になる理由は、消防上の危険があります。狭い道路に面していないので、消防車が入ってこれないし、避難することも困難になる恐れがあるからです。
また、見た目には道路であっても、正式な道路認定が無ければ同じです。道路の所有者が個人であれば、所有者の一存で道路以外の用途に変更されてしまうこともあります。そうなった場合、その道路に面していた土地は、避難経路を失うことになりますので、そのような土地には建物を建ててはいけないとされています。
もしも、隣接している土地を少しだけ買い取ることで、大きな道路から自分の敷地に入ってくる細い道路を広げることができたならば、再建築可能な物件に生まれ変わることもあります。
また、建物が崩れ落ちそうだが住み場所がここしかないというような特別な理由で市役所などに直訴し、再建設が許可される場合もあります。
見た目が道路でも法律上は道路でないのが、遊歩道です。敷地が4メートル以上の遊歩道に2メートル以上接していても、再建築不可とみなされます。しかし、この場合には例外があります。建ぺい率・容積率が制限されるなどの条件付きで、建て替えはおそらく許可されると思われます。目の前が遊歩道のため日当たりがよく、環境面では好条件といえるでしょう。このような物件もお宝度が高いです。
再建築不可な物件が、本当に建て替えが不可能なのか、それとも条件付きで許可されるのかは、市役所などの建築課で確認してください。
2.古いマンションは既存不適格が多い
1968年以前に建てられた古いマンションは、建築後に建ぺい率や容積率のルールが導入されたので、現状の規定に適合していない物件が多くあります。
土地に対して想定以上の大きさの建物が建っているので、老朽化して建て替えをしようとしても、現状より狭い建物しか建てることができませんので、購入することはあまりお勧めしません。
1981(昭和56)年に現在の新耐震基準が導入されましたので、それ以前の建物には注意が必要です。マンションの建築計画が申請・認可されてから実際に物件が発売されるまでに2年ほどかかりますので、それらから考えると、新耐震基準のマンションが市場に出始めたのは1983(昭和58)年以降(築31年以下)です。1983年に建てられたマンションの中には、旧耐震基準の物件が紛れていますので、注意が必要です。ただし、1983年以前(築31年以上)のマンションの中には耐震補強をしている物件もありますので、その中にお宝物件がある可能性もあります。
一方、戸建ての場合、建築計画の申請・認可から販売まで半年ほどです。つまり、1982(昭和57)年に建てられた戸建て(築32年)には、新耐震基準と旧耐震基準が存在しています。